メンテナンスが時の流れを優しくする
いい庭の条件
庭は生き物。
形だけ整えても、完成とはいえません。
むしろ、工事が終わったところから、本当の庭づくりが始まるのです。
だからこそ、先々に、どのようなメンテナンスが必要なのかを知っておかなくてはなりません。無計画なプランやデザインは、ストレートに価格やメンテナンスの負荷として跳ね返ってくるからです。
では、メンテナンスの目的とはなんなのでしょう?
1つは、時の流れを遅くすることです。
完成時から徐々に始まる経年変化を、少しでも遅らせるよう、デッキ、フェンスといった建造物を手入れすること。塗装を塗り替え、サビを落し、破損したら修理する作業です。
そしてもう1つは、時の流れと向かい合うこと。
日々生長をつづける植物を維持し、管理することです。こちらは、あらかじめプランニングされているデザインをカタチにしていかなくてはなりません。植物は生長をしていくものですから、きっちりとデザインされた庭であるほど、メンテナンスには細心の注意が必要です。
完成した庭が、生き物として、イキイキとした魅力を発揮しつづけられるか否かはメンテナンス次第。ただし、メンテナンスしやすければいいというわけではありません。たとえ手間暇がかかろうとも、メンテナンスしたくなる魅力がなければ、本当にいい庭とは言えないはず。
だからこそ、私たち遊庭風流は、「家族に愛され、自然に親しみ、時の流れを味方にする庭づくり」をめざしています。メンテナンスしやすさは、とても大切な要素です。
時の流れと向かい合うメンテナンス・アラカルト
「時の流れを遅くするメンテナンス」は素材選びからはじまります。コラム①「エクステリアからエコ」をご覧ください。
ここでは、「時の流れと向かい合う」メンテナンスについてお話しします。
日々、気をつけたいものには次のような作業があります。
①清掃
②芝生管理
③水遣り
④草取り(除草)
メンテナンスの基本は清掃です。清掃は見た目を良くするだけでなく、安全性の確保や植物の健全な成長を助ける上でも大切です。
門の周辺は、箒で掃き清め、その後、ホースで水をまき、デッキブラシで磨くとよいでしょう。
季節の変わり目には草木の枯れ枝や花がらが出ますし、秋や冬には、落ち葉が庭にたまります。隣家や道路に散らばる前に、箒で掻き集めておきましょう。
集めた落ち葉は、堆肥とし利用することもお考えください。
塀のコーナーは、風などでゴミが吹き溜まりやすい場所です。
軍手をし、手でゴミを取り除きます。 枯葉や枝木など清掃で出たゴミは、居住地域のゴミ出しのルールに従って、処分するようにしましょう。
芝生の管理で重要なのは芝刈りです。芝生の見た目と保水力を向上させるために行います。乾燥した日を見計らい、よく切れる刃で刈りましょう。雨が降った後で行う際には、芝草が乾いたのを確認してから行います。
また、芝生には種類によって推奨される高さがあるので、その高さを目安にし、維持したい高さよりも2~3cm伸びたら刈るようにします。生長期には1~2週間に1度程度の頻度になりますが、それ以外のときは、もっと低頻度でも大丈夫です。ただ、刈り忘れて、芝生の丈が伸びすぎると、刈るのが難しくなってしまうので気をつけましょう。
芝生の緑は目にも優しく、気候のいい時に、芝生の上に寝転ぶのはなんとも気持ちのいいもの。ただ、メンテナンスは結構大変です。
放置して、つい草ぼうぼうにしてしまう…とお困りのみなさまのために。
遊庭風流では、「リアリーターフ®」という人工芝をおススメしております。
「リアリーターフ®」は天然芝と違い、年間を通して均一なコンディションと景観を維持することが可能なメンテナンスフリーの芝生です。しかも、自然との本物のような景観と感触が特徴です。
単純作業と侮ることなかれ。上手な水遣りが、植物の生育を左右するといっても過言ではないからです。植物や土の状態を観察しながら、注意深く行いましょう。
頻度の目安は、春と秋は午前中に1回、夏は朝の涼しい時間にたっぷりと1回与え、さらに夕方1回、葉水をかけて植物や周囲の温度を下げてやるようにします。特に、晴天が数日間続いた時や、雨が1週間以上も降らない場合は乾きがちなので、充分な水遣りを心がけてください。
ちなみに、カラカラに土が乾燥した状態で水を与えた場合、まず表土が水分を吸収した後で、土中の粒と粒の間や根の周辺へと流れていきます。ですから、ゆっくり、たっぷり与えないと、深く伸ばした根までは行き渡りません。
逆に冬の水遣りは週に2~3回程度を目安に、温かくなった午前中に与えます。夕方に水を与えると凍結して植物を傷める危険性があるのでご注意!
遊庭風流では、水遣りが少しでも楽に、スムーズに行えるよう吟味した立水栓や、取り付け工事を工夫しています。どうぞご相談ください。
かつて昭和天皇は、
「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決め付けてしまうのはいけない」(入江相政「宮中侍従物語」より)
と語られたそうです。
確かに、どんな植物にも名前はあり、自然界の「花畑」には、人間にはとても作り得ない美しいものも多数存在します。
とはいえ、普通の庭にとっては、雑草は芝生や作物と競合する厄介な存在。
特に夏場は、いくら抜いても力強く生えてくる生命力に、腰を痛める方も多いのではないでしょうか?
庭のメンテナンスにおいては、もっとも手強い難敵です。
草取りには2つのコツがあります。
1. 早春のうちに根から丸ごと抜き取る
根が土壌に残っていると再生してしまいます。専用の道具を使い、根付きで丸ごと取り除きましょう。手間がかかりますが、何度か繰り返すと、確実に雑草の量が減ります。 除草用の専門器具は、雑草の種類によって、使い分けます。刈り取りフォークは、根が広がる細根性の雑草用。発芽直後の小さい苗は、刃渡り10cm程度の小さな鎌で刈り取るのが簡単です。
2. 芝生と一緒に雑草も刈る
芝生に生えた雑草は、芝生と同じ高さまで刈ってしまえば、あまり気にならなくなるものです。根から丸ごと抜き去るのが面倒な場合は、緊急避難的に行ってもよいでしょう。ただ、それにも限界があります。一般に、芝生の総面積に対して10~20%までは雑草が繁茂しても外見的にも健康的にも許される範囲です。